障害者総合支援法に抗議

10月31日(水)
私、内田ひろきが所属する怒っているぞ!障害者きりすて!全国ネットワークが障害者総合支援法に抗議し、厚生労働省に対して要請書を提出した。


厚生労働省前で演説する内田ひろき

以下に本文を抜粋。

私たちは、政府・厚労省が障害者全体とりわけ障害者自立支援法違憲訴訟団、との、「障害者自立支援法を廃止し、障害者の意見を取り入れた新法を作る」とした約束を完全に破って、実質的には「障害者自立支援法」の延長法である「障害者総合支援法」を成立させたことに対して強く抗議するものである。
「総合支援法」は、1割まで利用料を徴収できる内容であり、医療モデルである「障害程度区分」は「障害支援区分」としてますます「介護給付」のための絶対的な尺度とされようとしている。ケアマネージメントの導入などにより介護保険制度にますます近づけられ、地域間格差については元の「自立支援法」よりも拡大する内容となっている。難病者への制度の適用についても、一部の難病に限ろうとしており、決して「谷間の解消」とはならないことは明らかである。
政府・厚労省は「『骨格提言』の実現は財政措置もあって直ちに実現するのは難しい。できることからやっていきたい」と言っているが、これはまったくの嘘っぱちである。障害程度の判定を「医療モデル」ではなく「社会モデル」に変えるために予算措置は必要としない。障害福祉の制度に対する介護保険優先原則の撤廃も直ちにできるはずである。これはほんの一例である。予算措置なしで、あるいは使い道をほんの少し変えるだけで実現できるものは「骨格提言」の中にはいくらでもあるではないか!。厚労省には「骨格提言」を少しでも実現しようという考えは一欠けらもないのではないかと思わざるをえない。
念のために指摘しておくが、厚労省は口を開けば「予算がない」「財政が厳しい」というが日本の障害者関係予算はOECD諸国中できわめて低い位置にいることを忘れてはならない。

さらに、私たちを不安にするのは、8月に成立した「社会保証制度改革推進法」
である。法の「目的」の中で「国および地方公共団体の財政情況が社会保証制度にかかる負担の増大により悪化していることなどにかんがみ」と社会保証予算の大幅な削減を隠そうともしていない。しかも、財政悪化の全ての原因を社会保証費の「増大」にあるかのように規定していることを絶対に許すことはできない。
言うまでもないことだが、財政悪化の本当の原因は繰り返し行なわれてきた法人税や高額所得者に対する所得税減税による大幅な税収減にあることは誰が考えても明らかではないか。その一切のしわ寄せを障害者や高齢者、生活保護受給者に追わせようとすることなどは断じて許せない!
また、「家族相互の助け合い」をわざわざ法律に書きこみ、国が負うべき責任
を「家族」に追わせようとすることはきわめて重大な問題である。現在でさえ、
障害者(高齢者も)の多くが家族の介助に依存せざるを得ない状況にあり、このことが心中や虐待の原因となっている。抱え込んだ家族と抱え込まれた障害者の間には、支配・従属関係が生まれ、障害者が自らの意志で生きることを困難にしている現状がある。国は、このような悲惨な事態をより悪化させようというのか!

こうした「社会保証制度改革」の動きを先取りする形で、医療費の一部負担や支給費削減など生活保護制度の解体が進められようとしていることに対しても強い危機感と怒りを禁じえない。また、この法律には「社会保険制度を基本とし」として社会保証、福祉を保険料の支払いと引き換えに給付を行なうという冷たい金感情に変えようとしていることも重大な問題である。

私たち「怒りネット」はこのように、障害者や高齢者、貧困に苦しむ人たちの生活を脅かし、命さえ踏みにじろうとする問題を絶対にみとめることはできない。

こうした観点に基づき、以下のことを要請する。

★要請事項
①「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」(以下「骨格提言」)
にもとづく法律を速やかに制定すること。
②すべての障害者の地域生活、社会生活を保障すること。そのための介助保障を全国で地域間格差なく保障すること。
③「自立支援法」及び「総合支援法」における介護保険優先原則を直ちに撤廃すること。
④難病者を病名で選別することなく、介助など必要な福祉制度を適用すること。
⑤精神障害者の社会的入院を直ちに解消すること。医療観察法を直ちに撤廃すること。
⑥障害者が地域で集まり共同性をもてる場を保障すること。こうした観点を重視して、日中活動の場を位置づけること。
⑦福祉労働者が働き続けることのできる労働条件を保障すること。
⑧生活保護制度の改悪を絶対に行わないこと。
⑨憲法に規定された生存権の保障、福祉の充実を図る国の責任を自覚し、社会保障制度を充実させること。


厚生労働省にて内田ひろき

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