環境省に対する申し入れ行動

8月25日(月)
私、内田ひろきが所属する放射能からこどもを守ろう関東ネットが26の団体や個人賛同者57名とともに、東京電力福島第一原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議の運営について、環境省に対する申し入れ行動を貫徹し、以下の要請書を提出した。
午後からは申し入れ行動を受け、2時間に亘る記者会見をやり抜いた。

井上信治環境副大臣殿
浮島智子環境政務官殿

「東京電力福島第1原子力発電所事故に伴う住民の健康管理のあり方に関する専門家会議」の傍聴者への条件付与、傍聴規制に関する質問および要請

環境省は、「福島近隣県を含め、国として健康管理の現状と課題を把握し、そのあり方を医学的な見地から専門的に検討することが必要」「(原発事故・子ども被災者支援法)において、国は放射線による健康への影響に関する調査等に関し、必要な施策を講ずることとされている」ことから、この専門家会議を設置しました。
ところが、実際の会議は、厳密性に欠ける限られた線量データを対象にした議論に終始し、国際機関の報告の解釈論議に多くの時間を費やし、議論の内容は当初の設置目的とはかけ離れてしまっています。
また、国会議員連盟からの要請もあり、多くの外部専門家を招き、その見解を聞く機会を設けはしましたが、外部専門家から出された異論や批判的な意見に対して、専門家会議としての評価や見解は何も示されようとしていません。それどころか長瀧座長は、そうした意見に対して「ユニークな議論」「(外部委員の意見のような)結論になってはいけない」「あなたと議論をするつもりはない」と発言するなど、専門家にあるまじき言葉で応えました。 専門家会議は、およそ科学的とは思えない議論に終始しながら、福島原発事故に伴う被曝線量は少ない、健康への影響は無い、福島でも健康調査や健康管理は縮小する必要がある、福島県外の汚染地帯においては健康調査や健康管理の必要は全くないという結論を急いでいるように、国民の目に映じています。まさに、「最初から結論ありき」の非科学的な議論、会議運営が横行しています。
こうした状況に呆れた傍聴者達は、思わず傍聴席から小さな声をあげたり、失笑をしたりせざるを得ませんでした。また第9回会議では、傍聴の母親達が会議開始前に環境相政務官に要請文を手渡すことも行われました。子ども・被災者支援法が謳う被災者の声の聴取や反映という機会がまったく保障されていない中での、やむにやまれぬ行動でした。
ところが環境省は、8月7日から始まった第10回専門家会議の傍聴登録受け付けにおいて、注意事項と称して傍聴希望者に厳しい条件を付け始めました。これらの条件のほとんどは、不合理であり、市民の権利を無視するものであり、そればかりか特定の市民への露骨な差別と言う以外にないものです。
以下、環境省サイトに掲載された注意事項を示します(下線は、本要請者が付けたものです)。
傍聴にあたっては、以下、注意事項を遵守してください。登録はこれらの条件に同意いただくことを前提に受け付けします。
•会場内では私語を控え、指定された席で静かに傍聴してください。事務局が指定した場所以外には立ち入ることはできません。
•賛否の表明、発声や拍手などは認められておりません。
•ビラ(要望書等)の配布、プラカード等の持ち込み、鉢巻・ゼッケン等の着用などは厳に謹んでください。
•会場周辺では静粛に願います。
•その他、議事進行の妨げや他の傍聴者の迷惑になる行為は謹んでください。
•携帯電話、アラーム付きの時計等は音が出ないようにしてください。
•会議中の入退室は、やむを得ない場合を除きご遠慮ください。
•会場内は禁煙です。また、傍聴中の飲食はご遠慮ください。
•事務局の指示に従わない場合は、直ちに退室いただくとともに、今後の本専門家会議の傍聴をお断りすることがあります。

私たち市民は、このような不合理な条件付与や傍聴規制をやめ、受付要綱に関しては従前に戻すこと、また傍聴は抽選とせず希望者に広く開放することを要請するとともに、以下の諸点についてご回答を頂くよう求めます。

① 先ず、登録受け付けの条件として、これらの注意事項に同意することとされています。しかし、以下に引用するように、これまでは登録はすべての希望者を受け付けることが前提であったはずです。
「本専門家会議は公開です。傍聴を希望する方は、傍聴登録を行って下さい。傍聴登録締め切り後、参加者多数の場合は抽選とし、傍聴頂けない場合は電話番号宛にその旨を連絡します」(2013年10月の告知)
なぜ、登録制から事実上の許可制への変更が為されたのか、説明をして下さい。

② 事務局が指定した場所以外には立ち入ることが出来ないとされていますが、会議が始まる前の時間帯に、傍聴者が委員や政務官や環境省職員にものを尋ねたり対話をしたりすることは、専門家会議の趣旨からしても問題ではないし、むしろ肯定されるべきことだと思いますが、この点について見解をお聞かせ下さい。

③ 何故、傍聴者個々人に番号を振り、その番号の席に座るように指定しているのか、その意味や必要性がまったく不明です。その理由をつまびらかにして下さい。

④ ビラ(要望書等)の配布は厳に謹むよう書かれていますが、何故それを謹まなければならないのか、ご説明下さい。

⑤ 会場周辺では静粛にとありますが、そもそも意味と意図が不明です。会場周辺のことまで心配をすることは、環境省の権限を越えているようにも思います。このような注意事項を設けることを、環境省の職務だと考えるに至った、その根拠をお聞かせ下さい。

⑥ 議事進行の妨げや他の傍聴者の迷惑になる行為とありますが、このような行為も一度も見たことがありません。そのような行為の具体例があれば教えて下さい。また、何故このような注意事項を定めたのか、理由をお示し下さい。

⑦ アラーム付きの時計等は音が出ないようにとあります。第9回専門家会議において、視覚障害の傍聴者が着けたアラーム付き時計(視覚障害者用時刻音声案内時計)の極めて微弱な音を、環境省職員はずいぶん気にされていたようでした。しかし、この時計は視覚障害者が現在時刻を知るために欠かせない福祉機器の一つであり、国会及び地方議会、裁判等の傍聴では当たり前に使用が認められています。人権意識の高まる時代の潮流に逆行する音声時計の使用規制は、明らかな障害者差別です。この注意事項を掲載したことを謝罪するとともに、直ちに撤回すべきと考えますが、見解をお聞かせ下さい。

⑧ 事務局の指示に従わない場合は直ちに退室を求め、今後の本専門家会議の傍聴をお断りするとありますが、このようなことを行う権限の根拠をお示し下さい。また、傍聴者が市民の権利として傍聴継続の意思を示した場合、どのような手段で退室を求めるのかお教え下さい。傍聴をお断りする場合があるとの言葉は、この専門家会議が当初に謳った公開制に著しく反するものであり、この会議が設置された根拠法である原発事故・子ども被災者支援法の趣旨とも甚だしく矛盾すると思いますが、この点についての見解をお聞かせ下さい。
以上の質問につきご回答をお願いします。

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