骨格提言の完全実現を求める大フォーラム

10月27日(木)
私たち抜きに私たちのことを決めるな!をスローガンに私、内田ひろきが所属する怒っているぞ!障害者きりすて!全国ネットワークが呼びかけ団体に加わり、骨格提言の完全実現を求める10・27大フォーラムを開催した。
日比谷野外音楽堂での集会後は厚生労働省前で、抗議のシュプレヒコールを上げた。

以下に集会アピールを抜粋。

障害者差別解消法が施行された今年、私たちにとってひじょうに哀しい事件が起きました。
7月26日未明、神奈川県相模原市にあるしょうがいしゃ施設・津久井やまゆり園で、男が侵入し、入所者19名を死亡させ、27名を負傷させた事件。
被害にあわれたかたのご冥福をお祈りするとともに、順調な回復をお祈りいたします。
犯人は、ことし2月に、しょうがいしゃは社会にとって不要な存在とする手紙を衆議院議長宛に書いていたり、「彼らはいなくなればいい」と話すなど、しょうがいしゃに対するゆがんだ考えをもっていました。
私たちはこの事件に対して、怖さと怒りをおぼえています。
私たちの仲間には、「自分たちもおそわれないか」、「周りの人も“しょうがいしゃはいなくなればいい”と思っているのではないか」。
そして、犯人を何の根拠もなく精神障害と決めつける政府や世間に対して、「自分も危険な人物としてみられないか」と思ってしまう人が多くいます。
「骨格提言」の完全実現を求める大フォーラムは、このような思いを共有し、ともに不安を乗り越えます。
また、事件でふたたび浮き彫りになった社会の障害者不要論、しょうがいしゃを排除しようとするちからに対して断固反対し、しょうがいしゃが入所施設ではなく地域で暮らすことのできる環境整備を強く求めます。
この事件の根底にあるのは優生思想です。
優生思想とは、人間の命に優劣をつける思想で、世界はもとより日本に昔からありました。
たとえば、しょうがいしゃを保護者、施設職員がころす事件は、くりかえされていて、保護者に対する減刑嘆願・同情的報道は、減りません。
つい20年前まで、優生保護法が存在して、そのなかには不良な子孫の発生予防という条項がありました。
政府は長年、しょうがいしゃを地域で暮らせるようにすることよりも、本人の意に反してとおい施設で生活させることにちからをいれてきました。
1960年代からの経済成長期には、都市から離れた場所に入所施設をどんどん建てて、定員を満たすようにしょうがいしゃを入れてました。
現在、入所施設にいる人は、精神障害で32.3万人、知的障害で11.9万人、身体障害で7.3万人います。
また急速な高齢化社会により「入所施設にいれる」ということに何ら疑問を持たない世間があります。
しかし私たちは知っています。入所施設は“効率的な介護”が行われ、職員に従わなければいつ虐待がおこるかわからない状態であることを。
本人の意志ではなく、家族や地域の事情と意志で入所させられることを。
そして「厄介者は外へ一カ所に」という論理が、ひとびとのなかに働いているため、自治体は在宅サービスの充実や脱施設化をすすめないことを。
これらに共通することは、しょうがいしゃを何もできない者、邪魔な存在とする優生思想が働いており、根底では相模原事件の犯人と同じなのです。
今日の集会で語られたように、政府は優生思想そのものを否定はせず、むしろ擁護するような政策を出しています。
出生前診断で陽性だったひとの9割が中絶をえらんでしまうのは、しょうがいじを安心して育てられる環境の整備を社会があえて放棄しているからです。
障害者虐待防止法の改正議論をはじめず、学校・病院を対象外のままにしつづけることは、しょうがいしゃの人権を軽んじでいるからではないでしょうか。
改正される総合支援法は、「地域でどうくらせるか」という発想ではなく、「弱者はがまんせよ」という立場にたって、地域格差や、障害の種別・程度による支援格差をひろげています。
政府は相模原事件の原因である優生思想をひとことも批判していません。
それどころか厚生労働省は事件の原因を精神医療の不備にもとめ、措置入院の強化という、精神しょうがい者の社会復帰の促進とはまったく逆の方向を向いています。
3年前に日本が批准した障害者権利条約にも反しています。
優生思想をもつ為政者は、どの時代にもいました。
しかしすでに述べたような社会環境にあるいま、優生思想に同調する言動があちらこちらで聞かれます。
2011年に当事者と関係者55名がまとめた「障害者総合福祉法の骨格に関する総合福祉部会の提言」は、ひとを線引きしない福祉政策を提言しており、優生思想がはいりこむよちがない社会を描いています。
私たち大フォーラムは、この骨格提言を完全実現させることが、優生思想をなくすみちだと確信しています。
今後とも、他の団体と広く連帯して、優生思想を根絶させる運動、骨格提言を実現させる運動をしていきます。

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