いま「公共性」を問いただすシンポジウム 

11月25日(日)
私、内田ひろきが事務局を務める市東さんの農地取り上げに反対する会の主催で、「利潤原理に対する農の論理」いま「公共性」を問いただすシンポジウムを開催した。
私、内田ひろきの後援会である柏の自治力を活かす会の仲間と8人で、参加した。
これからの半年間は、市東孝雄さんを巡る裁判闘争が重要局面に入り、三里塚闘争は決戦の時となりそうだ。
ここ数年の三里塚闘争はこれまでに増し、緊迫した情勢である。
2010年に千葉地裁は、現闘本部撤去の判決を下したが、仮執行宣言が付けられず、昨年5月に東京高裁が仮執行を命じた。
つまり、現闘本部は最高裁の決定を待たずに、国策暴力によって撤去されてしまった。
この際、裁判を傍聴していた空港反対同盟の農民とその支援者に対し、不当逮捕と言う弾圧を加え、昨年8月には深夜から空港会社は、8・6広島闘争に多くの仲間が結集したすきにコソコソと現闘本部を破壊したのである。
正に権力による民主主義への挑戦なのだ。
現闘本部の破壊攻撃は、昨年の柏市議会議員選挙の最終日。
この攻撃と真っ正面から対決した仲間達が午後から選挙闘争に結集し、柏駅(東口)を練り歩いた事が記憶に甦る。
大変な時に駆け付けてくれた仲間達に感謝の気持ちである。
今日のシンポジウムでは、埼玉大学名誉教授で経済学者の鎌倉孝夫先生から話を伺った。


鎌倉孝夫先生と内田ひろき

講演レジュメを以下に抜粋。

「公共性」を放棄する新自由主義国家
カネ儲けの原理に対する「農」の原理

1.「公共性」とは人間が等しく生きる条件を保障すること
それを放棄する国家
(1)本来の「公共性」労働者・民衆(「国民」)の人権・生活の保障にある
(「国家」のためというのは公共性ではないこと)
◉ 日本国憲法(9条、25条、27条)による保障、国の義務。ブルジョア憲法だけど、民衆の闘いでこれを保障させたことの意味。
(2)現在の国家は「公共性」を放棄
それどころか労働者・民衆を収奪し、生活・命を奪っている
◉ 9条、25条の形骸化、放棄
◉ 財政危機(その原因を明確にしないまま)を口実に、民衆に増税、福祉切捨て、本来の「公共」的財政支出削減―私的企業の利潤追求の場に。
◉ 人間生活の基盤としての産業(農業)を破壊している。
(3)現在の経済を動かしている大企業(金融独占資本)に奉仕する国家
金融独占資本は多国籍独占資本
◉ 大資本を強くする競争力強化の推進、財政・税制による促進、リストラ強行。
◉ 大資本の中心は産業から離れた金融中心の資本
ギャンブル、バブル推進―崩壊―ゼロ金利・金融量的緩和で金融機関救済さらにバブル・投機→財政危機
◉ 財政資金(税金)による金融独占資本救済―リストラ推進→さらに財政危機〔→2の(3)〕。
◉ アメリカ政府・軍部に奉仕する日本国家
領土問題の扇動の中で、戦争の危機をあおり米軍事戦略に一体化。侵略の軍隊としての自衛隊。

2.新自由主義と国家
国家破綻の中での多国籍金融独占資本のグローバルな展開、それがもたらすもの
(1)新自由主義とは何か
◉ 資本の金儲けの自由
弱肉強食の徹底、社会のあらゆる分野を金儲けの場に。
◉ 現在の資本の主役は、人間生活に必要な富の生産に全く関わらない、ギャンブルで金儲けする資本。
(2)新自由主義の下での金融独占資本の本質発揮
①規制撤廃
独占資本に対する国家・行政上の規制をなくし、利潤最大化の行動の自由保障
→資本の本質発揮、資本の本質をとらえること。
②闘う労働組合、闘う組織に対する暴力的破壊、組織解体→人間をモノにし金儲けの材料に。しかしそれは無理、必ず人間的反発、さらに暴力。
③新自由主義推進による人間・人間能力の破壊、自然・自然環境の破壊。
(3)国家を利用し尽くす金融独占資本
①今日の主役
多国籍金融独占資本(米日、独英仏)
②金融独占資本は、その利潤追求・獲得に都合のよい国家を選ぶ、規制を強める国家を放棄
利潤が得られなくなれば引きあげ放棄→〝あとは野となれ山となれ〟
③しかも偏狭な国家主義
戦争の危機をあおる、しかし国家の利益は奪われ、民衆はさらに収奪される。
◉ 領土問題、戦争の危機扇動の政治・経済的損失
その下で利益を吸上げるアメリカ軍産複合体、日本の財政負担大。

3.新自由主義国家への抵抗・変革を
(1)資本も、国家も、民衆の敵だ
◉ 資本・大資本は自らその性格を変えない。国家への期待は幻想
◉ インターナショナルな民衆の抵抗組織化の意義。
(2)政治大混迷―保守極右翼台頭、対抗する〝革新〟の思想性欠如。
①日本保守右翼の特徴
◉ 民族主義的国家観
しかし直接には中国・朝鮮に対して。
◉ アメリカ国家に主権を奪われていることへの無自覚・無抵抗。
◉ 新自由主義推進、さらに弱肉強食の競争の推進を。
→理念なし、内的矛盾を抱えながら、無自覚、時々の国民的関心を利用するポピュリズム、体制自体の無認識の下での対症療法的・場当り的対策
収斂(しゅうれん)するのは権力的・暴力的な大衆・国民統制。
②なぜ〝革新〟側が弱体なのか
◉ 決定的な認識欠如、弱体
「体制」の認識、「資本」の本質認識の欠落
◉ アメリカの政治・軍事戦略、それに主権を奪われていることの批判的認識の欠如→〝自由と民主主義〟の内実についての批判欠如
◉ 労働者・民衆の社会的位置の認識欠如
商品主体化、商品経済(私的所有、利己的利得追求)への批判的認識欠落→市民的・プチブル意識の克服
③働く者の価値観を確立しよう
個と競争ではなく、共同・連帯、カネの追求ではなく〝命こそ宝〟
(3)抵抗と創造
根拠に基づく抵抗、根拠の社会的拡大
①なぜ抵抗が、組織的抵抗が不可欠なのか
闘わなければ展望はない
◉ 人間生存の破壊に対する抵抗、人間生存・命の破壊の元凶・
敵に対する抵抗
◉ 人間生存の根拠(労働)の認識確立
②生存根拠の担い手(本来の主体=労働者)による、生存根拠解体阻止、  再生・創造
◉ 人間が人間として生きる基盤を担う農業
◉「農」の論理の認識の確立
生産の主体が生産手段(土地・林・川=自然)に直接、目的意識的に働きかけること。自然法則の認識と法則への主体的対応。目的は、人間の生活・生命の維持・発展に不可欠な生活資料の生産・供給。そして生産における共同・連帯、各分野の労働者・「消費者」との連帯
③生存根拠の担い手による人間的社会、共同・連帯して、人権・平和・人間性発展を実現する社会の創造を目指して

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